エイドリアン・モンクとリーランド・ストットルマイヤーは、モンクがSFPDの刑事となって2週間目に出会った※1。ストットルマイヤーは、自分とモンクは彼が刑事となった初日に出会った、とディッシャーに語ったが※2、モンクは人並みはずれて記憶力が良いうえに、モンクには、ストットルマイヤーと出会う前に、2週間の間に3人もパートナーを変えた（自ら希望して変えたのか、それとも相手に愛想をつかされたのかは不明）という経緯※3があるので、ここはストットルマイヤーのほうが勘違いしている可能性が高いと思われる。
その日、大量の抗精神薬を服用したとみられる売春婦の死体がホテルで発見され、二人はパートナーを組んで早速、その捜査にあたったが、事件現場の状況から、ストットルマイヤーを含めたその場にいた全員が自殺だと考えたのに対し、モンク一人だけが、これは殺人だと見破った※4。こうして、出会った初日からモンクは、ストットルマイヤーに強い印象を与えたのだった。
その後、ある時点でモンクとストットルマイヤーのパートナー関係は解消されたらしく、モンクはジョー・クリスティなど別の刑事とパートナーを組んで仕事をしていた※5が、ストットルマイヤーは、モンクとトゥルーディの結婚式にも出席しているなどの事実※6から、直属の上司※7として、モンクと密接な関わりをずっと保っていたと思われる。
警察官時代、モンクはその類まれな能力で難事件を次々と解決し、SFPDにおける伝説的存在※8となったが、自らも将来を嘱望され、SFPDの歴史の中で最も若くして刑事となった過去を持つストットルマイヤー※9は、いつも自分からスポットライトを奪うモンクに苛立ちと嫉妬をおぼえることもしばしばで、表面的にはあまり仲が良くなかった。
しかし心の底では、ストットルマイヤーは他の誰よりもモンクの能力に深い敬意と信頼を寄せており※10、モンクもまた、ストットルマイヤーのことを非常に優秀な警官だと認めていた※11ため、彼らの間には常に、強い信頼関係が存在していた。
トゥルーディの死によって、モンクは精神のバランスを崩し、最終的には3年半にも及ぶ『ひきこもり』状態に突入してしまう※12。ストットルマイヤーは、トゥルーディが運ばれた病院にも足を運んでモンクに付き添い※13、精神的な支えの手を差し伸べ続けていた※14が、今のモンクの精神状態では警察官としての職務を全うできないと判断して、モンクから警察のバッジを取り上げ、彼を休職させる※15。
しかし内心では、モンクの能力を惜しみ、なんとかして仕事に復帰させたいと考えていたストットルマイヤーは、看護婦であるシャローナ・フレミングを自ら雇い、モンクの元に派遣する※16。
ストットルマイヤーが派遣してくれた看護婦シャローナのおかげで、モンクは少しずつ精神的な安定を取り戻し、コンサルタントと言う立場で、再び犯罪捜査に関わるようになる。そして、彼を信頼する市長からの要請を受けて、市長候補暗殺未遂事件の捜査に乗り出し、その事件において、モンクとストットルマイヤーは3年半ぶりに一緒に捜査にあたることとなる※17。
しかしその時点ではまだ、ストットルマイヤーはモンクの精神状態を危惧しており、また、市長が自分に事件を任せてくれないことにプライドを傷つけられて、モンクが捜査に関わることに良い顔をしなかった。モンクのほうも、悪意からではなかったにせよ、自分から警察バッジを取りあげたストットルマイヤーのことを恨めしく思う気持ちを打ち消しきれず、最初のうちは、彼らの関係は何かとぎくしゃくしがちだった※18。
だがその一方で、お互いが心に抱いていた相手に対する敬意と友情はいまだ消えてはおらず、引き続き一緒にいくつもの難事件を解決していくうちに心のわだかまりも次第に解け、相手への理解と信頼をさらに深め合った二人は、今日も仲良く喧嘩しながら、サンフランシスコに巣食う悪に立ち向かっていくのであった。
※1"Mr.Monk and his medicine"「ぶっ飛びモンク」
※2"Mr Monk goes to carnival"「陰謀の観覧車」
※3"Mr.Monk and his medicine"「ぶっ飛びモンク」
※4"Mr Monk goes to carnival"「陰謀の観覧車」
※5"Mr. Monk and the Employee of the Month"「モンクはスーパー店員」
※6"Mr.Monk and Mrs.Monk"（日本未放映）
※7"Mr Monk goes to carnival"「陰謀の観覧車」
※8"Mr. Monk and the Candidate"「狙われた市長候補」
※9"Mr. Monk Gets Cabin Fever"「とんだバカンス」
※10"Mr. Monk Goes to Mexico"「空からの水死体」
※11"Mr. Monk and the Psychic"「モンクvs超能力」
※12"Mr. Monk and the Very, Very Old Man"「同居人に文句あり」
※13"Mr. Monk and the Captain's Wife"「警部愛妻物語」
※14"Mr. Monk and the Candidate"「狙われた市長候補」
※15"Mr. Monk and the Candidate"「狙われた市長候補」
※16"Mr. Monk and the Other Woman"「妻の面影」
※17"Mr. Monk and the Candidate"「狙われた市長候補」
※18"Mr. Monk and the Candidate"「狙われた市長候補」