■名探偵モンク エピソードガイド
名探偵モンク 探偵免許はく奪
探偵免許はく奪 Mr. Monk Gets Fired
脚本:ピーター・ウォーク
監督:アンドレイ・ベルグラダー

あらすじ
 ポール・ハーレイという男が、自宅のガレージで愛人のラリサ・ザリエヴァを殺害。彼はチェーンソーで頭部と胴体を切断し、彼女の身元がわからない状態にして胴体を遺棄した。

 サンフランシスコ警察のストットルマイヤー警部の部署には、彼の妻のカレンと彼女のスタッフが、警察の仕事についてのTV番組用ドキュメンタリーを製作するため、撮影に訪れていた。カレンは、私達はここにいないものと思って普通に振舞ってほしいと言うが、TVカメラの前に警部もディッシャーもすっかり浮き足立ってしまう。

 そこにサンフランシスコ市警のブルックス署長がやってきて、頭部のない死体が発見された事件について何の進展もないのかと、カメラの前もかまわず、警部をこっぴどく責めたてる。警部はモンクに捜査を依頼。やってきたモンクとシャローナ、そして警部とディッシャーの目の前で、ブルックス署長の帽子がひったくられるという不思議な事件がおきるが、署長はかまわず近づいてきて、モンクにもイヤミを言う。かつてモンクは、署長の友人が関連した裁判でその男に不利な証言をしたことがあり、署長はそれを今でも根に持っていたのだ。

 警部たちと共に検死官のもとを訪れ、頭部のない死体を見たモンクは、一目で年齢や出身地を読み取るが、キーボードの汚れを取り除こうとして検死官のコンピューターをいじりまわし、うっかり過去10年間の検死ファイルを全消去してしまう。

 ファイルはバックアップがとってあったものの、モンクに恨みを抱いているブルックス署長は彼の失敗を好機とばかりに、今後モンクがサンフランシスコ警察のために働くことを禁止し、その上彼の探偵免許を剥奪してしまう。

 モンクが職を失ってしまったので、シャローナはしかたなくまた看護婦として病院に就職するが、途方にくれたモンクが、用もないのに毎日やってくるので困り顔。モンクのために雑誌の校正の仕事を探してきて、とりあえず面接を受けてみるよう勧める。

 一方、警部は頭部のない死体の事件について、別れた妻の証言からハーレイに疑いを持ったものの、ハーレイはあくまでもラリサはパリにいると主張。もし彼の家から彼女の髪の毛一本でも見つかれば、それをもとにDNA鑑定して、頭部のない死体がラリサのものであると特定できるのだが、ハーレイは家中隅から隅まで掃除して、完璧に彼女の痕跡を消していた。

 シャローナの勧めで面接を受けたモンクは見事合格。しかし犯罪捜査の仕事を天職と感じている彼は、がっくりと落ち込んだまま、ふと椅子の上に置いてあった新聞に目を落とす。そこには、またしてもブルックス署長の帽子が何者かにひったくられたという記事が載っていた。それを読んだとたん、モンクは妙なステップを踏みながら「謎は解けた! 仕事にも戻れる!」と大喜びし始める―――


このエピソードの《警部ファン的》みどころ
 カメラの前での若い巡査の不用意な発言をフォローし、高圧的な署長のイビリに耐え忍び、このエピソードの警部は中間管理職の悲哀といじらしさに満ち溢れていて、愛らしくって胸がきゅっとなる。

犯罪捜査は、モンクの全てです!

 ブルックス署長からモンクの探偵免許を剥奪したことを聞かされ、まるで我がことのように青ざめ、必死で署長に温情を訴える警部。
「警察の仕事は、犯罪捜査は、モンクの全てです。それを取り上げたら彼は死んでしまいます」
 警部はこれほどモンクのことをよく理解し、愛してもいる。しかし、最初にモンクから警察バッジを取り上げたのは、他ならぬ警部だった。もちろん警部の場合は警察官としての良心に従っての行動であって、ブルックス署長のように個人的な理由でモンクに意地悪をしたわけではないけれど、それでもその時はさぞ心の葛藤があったに違いない。

わかったよ・・・ぐすん。

 カメラの前で、電話越しにブルックス署長にさんざん罵倒され、ついに半べそ状態で「署長には怒鳴られるし、モンクはいないし、どうしたらいいんだ」とカレンに泣きつく警部。それを本人に内緒でこっそりと撮影しつづけ、その上、私を傷つけたくないなら撮影させてくれるわよね、と愛情を利用して脅しまでかけるカレンは、冷徹なプロフェッショナルというか確信犯的なワルというか。それに対しあきらめたように静かな声で「わかったよ・・・」と答える警部の、ひどくはかなげで弱々しい表情がたまらない。

あなたの言うとおり、証拠品は俺の鼻先にぶらさがってましたね、署長!(笑)

 部下達みんなとTVカメラの前で、意地悪な上司に恥をかかせる機会が出来で、表情から声から嬉しさを滲ませご機嫌の警部はたいそう可愛いけれど、しかしブルックス署長は、この事件の後も署長で警部の上司であることに変わりはないのに、あんなにからかいまくって大丈夫なんだろうか;; 警部本人はまだまだ出世するつもりみたいだけれど、これでは当分、警部のままは確実か? なお、このシーンにおいて、あんただって部分カツラじゃん! というツッコミは厳禁。確かにテッド・レヴィンは部分カツラをつけて警部を演じているけれど、ドラマの世界の中では、あの髪は本物。それがみんなのお約束。


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