■名探偵モンク エピソードガイド
名探偵モンク 愛妻を殺したのは?
愛妻を殺したのは? Mr. Monk Takes Manhattan
脚本:アンディ・ブレックマン
監督:ランドール・ジスク

あらすじ
 鯨のデイルから得た情報を基に、トゥルーディ殺害事件に関わりがあるとされる男、ウォーリック・テニスンに会うためにニューヨークにまでやってきたモンクとその仲間達。

 しかしニューヨークの喧騒と人の多さにモンクはパニック寸前。しかも、ホテルに着いた早々、彼らとすれ違ったばかりのラトビアの大使がエレベーターの中で射殺されるという事件に出くわしてしまう。

 逃走する犯人とぶつかり、その男の耳を見たモンク。駆けつけてきたニューヨーク市警のケイジ警部から、ウォーリック・テニスンは、現在FBIの証人保護プログラムによって保護されており、簡単には面会できないと聞かされ、テニスンに会えるよう取り計らってもらう代わりに、モンクはラトビア大使殺害事件の捜査に協力することになる。

 モンクは、ラトビア大使に政治的な反感を持っていたという容疑者に会うが、彼の耳を見て、犯人ではないと確信。さらに、生前の大使とすれ違った時に耳に挟んだ謎の言葉は、ラトビアの地方の方言で「これは私のコートじゃない」という意味であったことを突き止める。しかし、その帰り道、モンクは地下鉄でシャローナとはぐれ、広いニューヨークの中で迷子になってしまう。

 一方、警部とディッシャーは、ニューヨーク市警のケイジ警部のオフィスにこっそり忍び込み、彼のキャビネットに隠されていたウォーリック・テニスンのファイルを見つけ出す。そこから警部は、テニスンは重病で深刻な状態にあり、あと数日の命しかないことを知る。

 ニューヨークで一人になってしまったモンクは、恐怖と緊張のあまり完全に理性を失い、タイムズスクウェアでインチキくさい伝道師の助手をしているところを発見される。仲間達と再会してようやく落ち着きを取り戻したモンクは、ふと見上げたビルの巨大スクリーンに映る男の耳をみて、あの男がラトビア大使を射殺した犯人だ、と断言する。その人物の名はスティーブン・ライト。妻を、数日前に殺されたばかりの男だった―――


このエピソードの《警部ファン的》みどころ
 このエピソードの警部は、最初から最後までせっせとモンクの世話ばかりやいていて、元上司や看護夫を通り越して、まるでお母さんのよう。

モンクがいない!

 冒頭からいきなり、乗っていたはずのタクシーから、いつのまにかいなくなってしまうモンク。モンクがいない! とわかった時の警部の、シャローナに全くひけをとらないあからさまな動揺っぷりが可愛い。しかし、一緒に乗っていた(ホテルのフロントで「タクシーに同乗するだけでたくさんだ」と警部が言うシーンがある)タクシーからモンクが降りたことに気が付かないなんてことがあるだろうか? 二人ともタクシーから降りてから、ちょっと目を離した犂にどこかへいってしまったということか? どうもここのシーンはよくわからない。いずれにせよモンクは、歩き始めたばかりの3歳児みたいに片時も目を離せない。頑張れ、お母さんたち!(←シャローナと警部)

誰が僕を引き受けて、面倒をみてくれますか? おれはやだ! やだからな!

 どっちがモンクと同室になって彼の面倒を見るかでモめる警部とシャローナ(ディッシャーは問題外だろう。小さな子どもを大人なしで二人っきりにさせるようなものだ)。モンクを引き受けるのを警部は嫌がるが、最終的には絶対に警部がモンクと同室になったに違いない、と私は確信している。
 ところでこのシーンで、警部がフロントに出した彼のクレジットカードは、ゴールドカード(アメックス?)だ。彼の社会的地位の高さから考えればゴールドカードを持っていても不思議でもなんでもないけれど、なんとなくちょっとトキメいてしまった(笑)

がんばれ、がんばれ、もう少し! お前にならきっとできる!

 工事の音が気になって、言葉を最後まで言えないモンク。しかし急かしたり怒ったりすることなく、辛抱強く黙って聞いてあげる警部。ついにモンクが騒音に負けないくらいの大声で「選択の余地はありません!」と言えた時、よくやった、と言うようににっこりと笑ってモンクの肩を叩く警部は優しさにあふれていて、とっても素敵。

鍵を盗んだんじゃない。ちょっと借りただけ。

 モンクのために、ケイジ警部のオフィスの鍵を盗んで忍び込むなんてことまでやってしまう警部。その友諠の厚さにも感動するが、そんな警部の後をどこまでもちょこまかとついてくるディッシャーの忠犬っぷり(笑)もかわいらしい。ほとんど役には立たなくて、かえって邪魔ばかりするのもご愛嬌。

俺の友達も死んじまった! ・・・ある意味でな。

 テニスンが余命幾ばくもないことを故意に隠していたケイジ警部に、怒りをぶつける警部。
「俺の友達の妻が爆弾で吹き飛ばされたんだぞ、わかるか? そしてそれで、俺の友達自身も死んじまったんだ・・・ある意味でな」
 警部は、一度は死んでしまったモンクをもう一度生かしてやるために、一生懸命に力を尽くしているのだ。警部はモンクの元上司であると同時に、間違いなく一番の親友である。警部本人は認めたがらないだろうけど;;

はいはい、ちゃんとして。

 理性を失って、タイムズスクウェアでインチキ伝道師の助手をやっていたモンクを、説教台から有無を言わさず力づくでひきずりおろし、真っ先に警部がしたのは、モンクの手をウェットティッシュで拭いてあげることだった。さらに汚い伝道師のケープを脱がせ、中に折れこんでしまっている襟をきちんと直してやり、このシーンの警部は、シャローナの出る幕がないほどのかいがいしさで、モンクの世話をやきまくり。本当にお母さんみたい。しかしいくらなんでも、ちょっと甘やかしすぎじゃないだろうか? 

無豪で、ぎゅっ。

 ウォーリック・テニスンと二人だけにしてくれ、というモンクの手を、一度ぎゅっと握ってから、シャローナとディッシャーを促して部屋の外に出る警部。警部はモンクを過保護に甘やかすだけではなく、きちんと信頼のおける大人の男として扱い、彼の意思を尊重もする。時には元上司と部下、またある時にはお母さんと小さな子ども、そしてまたある時には尊敬と信頼を分かち合った親友同士。一筋縄ではいかない関係だけど、警部とモンクは、そこがいい。

時計から煙が出てるぞ。

 懲りずにまたしてもニセモノの時計を買ったディッシャー。モンクに比べればまだましとはいえ、ディッシャーもまた、警部にとっては手がかかる子どものような存在。警部のように根本的にものすごく面倒見が良い人は、モンクやディッシャーのようなタイプを自然と引き寄せてしまうのだろう。ひとりっこで年寄りッ子の私も、引き寄せられてしまったクチだ(笑)

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