■名探偵モンク エピソードガイド

ぶっ飛びモンク  Mr. Monk Takes His Medicine
脚本:トム・シャプリング、チャック・スカラー
監督:ランドール・ジスク

あらすじ
 傷害事件を起こしたバイカーを逮捕するために、とある街角にやってきた警部とディッシャー。彼らが車を降り、バイカーに近づこうとしたとたん、急に何者かが彼らに向かって銃を発砲、放たれた弾丸の一発が警部に当たり、彼はその場に倒れてしまう。

 その頃、モンクはちょうどクローガー先生のオフィスにいた。その日のモンクは鬱状態でひどく落ち込んでいたため、クローガー先生はモンクにOCDの症状を抑える新しい薬を服用してみるよう勧める。薬物治療を受けるのは気が進まないものの、とにかく薬を受け取るには受け取ったモンク。と、そこにシャローナが駆け込んできて、警部が撃たれたことを告げる。

 あわてて現場に駆けつけたモンクは、いつもながらの卓越した捜査能力を発揮して、その場の様子から犯人がどこから警部を撃ち、その後どこへ向かったかをあっという間に分析してみせる。
 しかし、どさくさにまぎれて逃げたバイカーが事件に何らかの関連があるとにらんだディッシャー達が、その男を追い詰めて逮捕しようとした時、汚れた鉄パイプを掴めなかったばっかりに、モンクはその男を逃がしてしまう。

 自分のふがいなさに決定的に落ち込んだモンクは、その夜、自分を変えるために、クローガー先生からもらった薬を飲む。

 翌朝、警部のお見舞いの病院を訪れる道すがら、なんだかいつもと違っていかにもリラックスして楽しそうなモンクの様子に、首をかしげるシャローナ。病室に入ってきたとたん、モンクにいきなり抱きつかれ鼻を擦りあわされた警部は、驚きのあまり硬直してしまう。

 警部の朝食の残りを平然と食べるモンクに、シャローナと警部は目を白黒。そこに、前日にモンクが推理したとおりの場所で、犯人が使ったと思われる銃を発見したディッシャーが、その銃は、警部が撃たれる直前に現場のすぐ近くで飛び降り自殺をした女性、マデリーン・ハイスミスの所有物であったことを報せに来る。

 さっそくモンク、シャローナ、ディッシャー、そして強引に病院を飛び出してきてしまった警部の4人は、マデリーンが飛び降りた彼女のアパートに向かうが、いざ捜査が始まっても、いつまでもふざけ半分のようなモンクの態度にみんな戸惑いを隠せない。しかもモンクは、現場を見て、そこから手がかりを読み取る才能をすっかり失ってしまっていた。

 それがクローガー先生からもらった薬の副作用であることを知ったシャローナや警部は、モンクに薬の服用を止めるように勧めるが、別人のようにエゴ丸出しで、怒りっぽく、傲慢になったモンクは、彼らの言うことにまるで耳を貸そうとしない。

 派手なアロハシャツを着て赤いムスタングを乗り回し、生まれて始めて味わう開放感にモンクは酔いしれるが、ふと一人になったとき、反動のように、どうしようもない孤独感に襲われて、モンクはトゥルーディの枕を抱きしめる。そこに残ったかすかな彼女の匂いをかぐことで、いつもならモンクは、トゥルーディの存在を身近に感じることができた。しかし薬のせいで、そのような繊細さをも失ったモンクの前に、トゥルーディの幻は現れない。それはモンクにとって何よりも耐えがたいことだった―――


このエピソードの《警部ファン的》みどころ
 このエピソードでは、警部本人のみどころよりも、モンクやディッシャーがいかに警部を愛し慕っているかがよくわかるシーンが多くて、それが警部ファンとしては嬉しくてたまらない。

傷つき倒れる警部・・・萌え〜っ!

 エピソードの冒頭から、いきなり銃で撃たれ倒れる警部。オーマイガッ!
 しかし私は、好きなキャラが傷ついたり、苦しんだり、死んだりするシーンを観るとやたらと萌えてしまうというちょっとヘンタイっぽいところがあるので(笑)ここのシーンは、もうたまらんとですたいっ!(なぜにインチキ九州弁)。

警部のためならエンヤコラ!

 警部が撃たれたという報せを受け、現場に駆けつけてディッシャーの手助けをするモンク。
 警部のために、二人ともいつになく必死な面持ちで現場検証にあたり、最後に「ありがとう」と礼を言うディッシャーに「彼は、僕の警部でもあるから」とモンクが答えるシーンでは、なんかもう、観てるこっちが嬉しくて!
 いつもいつも警部はモンクやディッシャーの世話に追われててんてこまいなのに、奴らのほうは親の心子知らずというか(笑)いまいち報われてない感じがするので、たまにこうしてモンクやディッシャーが、本当は警部のことが大好きなんだというところをみせてくれると、母の日に子どもからカーネーションをもらったのを見たみたいに(笑)私まで嬉しくなってしまう。

 モンクのひそかな欲望1 モンクのひそかな欲望2

 薬を飲んで別人のようになったモンク。しかし酒を飲むとスケベになる人は、本性がスケベなんだとよく言うように、あの薬は、パーソナリティの中の普段は強烈に抑圧されている部分を解放しただけで、『ザ・モンク』が示した傲慢さや怒りっぽさや不真面目さは、ジキル博士の中のハイド氏のように、もともとモンクの中にあるものなのだと思う。
 つまりモンクの心の奥には元々、できるならば派手なアロハシャツを着たり、赤いムスタングを乗り回したり、ファーストフード店でハンバーガーを食べたい! という欲望があって、あの薬はそれを解放したにすぎない。警部をファーストネームで呼んだり、べたべた甘えたりしたい! という欲望も(笑)。実に興味深い薬だが、あれはOCDの人にしか効かないのだろうか? 警部もいろいろ自己抑圧してる部分の多い人だから、飲ませてみたらきっと面白いと思うのだが・・・

警部の生着替え

 トランクス(下着)を履くのをディッシャーに手伝わせる警部。さりげなくやってるけど、これってわりとすごいことだと思う。だって私には、上司がパンツを履くのを手伝うのも、部下に自分がパンツ履くのを手伝わせるのも、どちらも絶対にありえない。そうではありませんか? ズボンじゃなくてパンツですよ?
 しかしこのシーン、私はコマ送りして何度も観たのだが、警部ッたらまるで小学校6年生の女子の着替えやストリッパーのご開帳のように、ものすごく上手に大事な部分を隠したまま、さっとパンツを履いてしまうので、全く全然なーんにも見えやしない。ちぇっ、ケチ。

薬を止めたほうがいいと思うけど・・・

 調子に乗りすぎてお話にならない状態のモンクに、警部は薬を止めるよう説得。しかしモンクが
「生まれて初めて、まるでカーテンが取り払われたみたいに、頭がクリアになった気分なんだ」
と言うと、これまでモンクがどれほど苦しんできたかをよく知っているがゆえに、それ以上強いことがいえなくなってしまう。
 ザ・モンクは、今までのモンク以上に我慢がならない上に役にも立たないので、当然昔の彼に戻って欲しいけれど、モンク自身の幸せを考えて、自分の意見を無理に押し付けたりはせず、ただ黙ってため息をついている警部。本当に思いやり深い人だ。

警部を傷つけると、俺とモンクが黙ってないぞ!

 捕らえた犯人に向かって、珍しくシリアスに、怒りをあらわにするディッシャー。モンク同様ディッシャーにとっても、警部はとても大切な人なのだ。わかってたけど、それがはっきりわかって私も嬉しい。


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