■名探偵モンク エピソードガイド
名探偵モンク モンクvs超能力
モンクvs超能力 Mr. Monk and the Psychic
脚本:ジョン・ロマーノ
監督:ケヴィン・インチ

あらすじ
 元サンフランシスコ警察署長のハリー・アッシュコムは、ある夜、大金持ちの妻キャサリンを交通事故に見せかけて計画的に殺害する。

 数日後、サンフランシスコ警察で、行方不明である彼の妻に関する情報を広く求める記者会見が行われ、アッシュコムはカメラの前で、自らが殺した妻の安否を気遣う演技を堂々とやってのけたが、その会見場には、ニュースを聞きつけてやってきたモンクとシャローナがいた。

 妻を亡くしているモンクは、アッシュコムに深く同情し、夫人の捜索に加えてくれるよう志願する。アッシュコムは内心苦りながらも嫌とは言えず、モンクの協力の申し出を受け入れる。

 しかしそれからまもなく、車ごと地すべりの下敷きになっていたアッシュコムの妻が発見される。発見者は霊能力者ドリー・フリント。ドリーは、目覚めたら土に埋まった車の前にいた。彼女の霊に導かれたのだ、と主張するが、霊や第六感を全く信じていないモンクは、アッシュコムの妻の死は事故ではないのではないかと疑い始める―――


このエピソードの《警部ファン的》みどころ
 元警察署長の妻の遺体をみつけて、これで有名になれるとはしゃぐドリー・フリントに困り果てながらも丁寧に応対したり、本当は犯人であるとは知らずに、元上司であり友人であるハリー・アッシュコムに対して一生懸命気を遣ったり、キャリアの後先を考えずに突っ走るモンクをたしなめたり、警部って実は優しくて、しかもなにかと苦労症の人なんだな、ということがわかりはじめる。

失礼、部屋を間違えました。ドアに私の名前があったもんで。

 警部のオフィスに無断で入り、彼を待っていたモンク。しかも勝手に机の上をいじりまわして、物を捨てたりしている。でも警部は、睨みつけてちょっとイヤミを言うだけで、怒鳴ったりはしない。

 これはシリーズを通して言えることだが、警部は、自分だけが迷惑を蒙っている分には、モンクに対して声を荒げたりはしないのだ。黙って睨みつけるか、もしくはただため息をついて、あきらめるのである。しかしここでは、ドリー・フリントが死体を見つけるなんておかしい、と主張するモンクに対して、さも嬉しそうにニヤニヤしながら「ドリー・フリントに先を越されて悔しいんだろ?」と意地悪を言ってやりかえすチャンスを与えられていた警部。図星を指されて、悔しそうにデスクライトの先をちょんとやるモンク。おじさん二人の子どもっぽいやりとりが最高に可愛い場面である。

証明できるか?

 元警察署長であるハリー・アッシュコム本人に殺人の疑いをぶつけたモンクをたしなめに、あわててすっ飛んできたところを逆に「リーランド、あなたは僕が知る中で最も優秀な警察官だ。事実から目をそらさないでください。ハリー・アッシュコムは夫人を殺したんです!」と迫られ、さんざんためらいながらも「証明できるか?」と尋ねた時の、警部の上目遣いの表情ときたら、ハートにズキューン! まさに一撃必殺もののいじらしさ。

 もしモンクが間違っていたら、警部のキャリアまで、彼と一緒に心中確実。それをお互いによくわかっていて、それでも自分を信じてくれと求めるモンクと、ためらいながらも結局は信じてあげる警部。表面的にはどうであれ、二人の間には深い信頼関係が存在していることを如実に表しているシーンである。またこのシーンは、モンクが警部のことをリーランド、とファーストネームで呼ぶ数少ない場面のうちのひとつでもある。

 なお、この文章の趣旨とは少しずれるが、あの証明のやり方では、本人の自白(しかも誘導されたもの)だけで、あまりにも物的証拠が少なすぎて、裁判では無罪になる可能性のほうが高いのではないかと思うのだが・・・


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