■名探偵モンク エピソードガイド
名探偵モンク 容疑者は夢の中
容疑者は夢の中 Mr. Monk and The sleeping suspect
脚本:カール・シェーファー
監督:ジェリー・レヴィン

あらすじ
 街角で警部とディッシャーがあるチンピラを尋問中、不審な車がわざと警部達の車をひどくこすった上に、暴言を吐いて逃げ去った。急いで車に乗りこみ、男を追いかけようとする二人。ディッシャーは生まれて初めてのカーチェイスに喜びと興奮を隠せない。しかし、シートベルトを締め、逃げる車を追っていざ走り出そうとした瞬間、二人の目の前で男の車に別の車が突っ込み、車は大破。ディッシャーの念願のカーチェイスは、始まる前にあっさりと終わってしまう。

 それから4ヵ月後。ベンジーの誕生日を間近に控え、プレゼント選びに悩むモンクに、クローガー医師は、休暇で2週間ほどコスタ・リカに出かけて留守にすると告げる。しかしモンクは、不安のあまりその事実をうまく受け止められない。

 そんな折、アマンダ・バベッジという女性が、郵送で送りつけられた爆弾によって殺された。現場では、アルコール・タバコ・火器局(ATF)のグルームズという男が幅を利かせて捜査を仕切っており、いつも市警を下っ端扱いするFBIが大嫌いな警部は、グルームズの鼻を明かしてやりたい一心で、モンクに捜査協力を依頼する。

 アマンダ・バベッジは、父親の莫大な遺産を巡って、長年の間、兄のブライアン、弟のリッキーと兄弟三つ巴の訴訟合戦を繰り広げていた。しかし兄のブライアンは、奇しくも4ヶ月前、警部とディッシャーの目の前で事故を起こしたあの男で、彼はあれ以来ずっと昏睡状態のまま。そのため疑いの目は当然のごとく、弟のリッキーに向けられた。

 しかしモンクは、送りつけられた小包の住所がアマンダが引っ越す前の住所だったことや、小包を縛った紐の結び方などから、爆弾を送りつけた犯人はリッキーではなく、兄のブライアンの方だと確信。しかし4ヶ月もの間正真正銘の昏睡状態にある彼がどうやって爆弾を妹に送りつけたのかは、モンクにもわからない。

 一方、ベンジーの誕生日パーティによばれたモンクは、彼に散々悩んで選んだプレゼントを贈るが、ベンジーがあまり気に入ってくれなかったので、ひどく落ち込んでしまう。しかもそのパーティに、何の前触れもなく突然ベンジーの父親でシャローナの元夫であるトレバー・ホウが現れ、モンクは、シャローナがトレバーと復縁して自分の元から去ってしまうのではないかという不安に襲われる。しかし、いつもモンクの話を聞いてくれるクローガー医師は旅行中で留守。しかたなくモンクは、昏睡状態のブライアンに不安な胸のうちを打ち明ける。

 ATFのグルームズにあざ笑われながらも、警部はモンクを信じて、ブライアンに的を絞って捜査を続行。ブライアンの自宅を訪れたモンクとシャローナは ウォークイン・クロゼットの天井に、ケチャップのビンがいくつも糊でくっつけられているのを見つけ、首をかしげる。

 調査を終え帰ろうとして階下に降りた時、若い中国系のメイドが見覚えのある結び目で縛られた小包を開封しようとしているのをみて、モンクはあわてて小包を引ったくり、トイレに放り込んでドアを閉めた瞬間、爆発音と共に、彼はトイレのドアごと吹っ飛ばされてしまう―――


このエピソードの《警部ファン的》みどころ
 このエピソードは、警部役のテッド・レヴィンと、ディッシャー役のジェイソン・グレイ・スタンフォードが、公式サイトのインタビューで一番気に入っているエピソードに選んだ回である。

初カーチェイスのご感想は?

 待ちに待った念願のカーチェイスが、始まる前にあっさり終わってしまったことに呆然とするディッシャーに向かって、冷静に一言。
「カーチェイスは終了。ご感想は?」
 そんないけずなところも素敵。

だってモンクは、絶対に間違えない。

 ブライアン・バベッジの犯行に間違いないと断言するモンクに
「彼は昏睡状態なんだぞ! 俺はこれまでの人生で15000人の犯罪者を見てきたが、彼らには共通点がある。それはみんな、意識があるってことだ!」
と怒鳴り散らすものの、犯人は弟のリッキーだと信じて疑わないグルームズに、君はどう思う? と意見を聞かれると、さんざんためらいながらも、結局はモンクの言うとおり
「もう一人の兄弟のほうだ・・・」
と答える警部。
 これ! これなのよ〜! と叫びたくなるほど、二人の関係の一番美味しいところが凝縮されている名場面である。
 このシーンに如実に現れているように、ああ見えてモンクには実は結構『うだうだ言わずに、黙って俺について来い』というところがあって、そしてああ見えて警部には『あなたについていきます、どこまでも』なところが濃厚にあるのである。この外見と中身のギャップがなんとも言えず、たまらなくいい。

そばに俺がついてなければ なにもできないやつだから

 どんなにグルームズに馬鹿にされ、嘲笑われても、黙って唇をかみ締めて耐え、モンクを信じ続ける警部。もうここまで来ると『浪速恋しぐれ』のお浜春団治の世界である。
 ♪真相のためなら元上司も泣かす〜それがどうした文句があるか〜
 ♪そばに私がついてなければ なにも出来ないこの人やから 泣きはしませんつらくとも〜
 いい。実にいい。日本人の心の琴線に触れる。

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