■名探偵モンク エピソードガイド
同居人に文句あり Mr. Monk and very, very old man |
脚本:ダニエル・ドラッチ 監督:ラリー・スリング あらすじ 世界最長寿の老人マイルス・ホリングが、115歳の誕生日の前日、何者かに殺害された。 周囲の人間は老衰と信じて疑わなかったが、以前、マイルス・ホリングに関するドキュメンタリーを監督し、賞をもらったこともある警部の妻カレンは、現場の状況からマイルスは殺されたのだと確信、夫の警部に捜査をしてくれるように頼みに、署までやってくる。 警部は、114歳の人間をなんでわざわざ殺さなきゃならない、と妻の言い分を全く取り合おうとしないが、彼女を怒らせないために、しかたなくモンクに現場検証を依頼、もしモンクがなにかおかしいと言ったら、捜査するとカレンに約束する。 現場を見たモンクは、カレンの言うとおり、これは殺人だと断言。その後、検死の結果も殺人と出て、マイルス・ホリングの死は正式に殺人事件となるが、プライドを傷つけられた警部は妻と喧嘩、家を追い出されてしまう。 落ち込んだ警部は、ダレン・レヴァローニという名の17歳の若者が葬られている墓に向かう。ダレンは5年前、何者かによってひき逃げされたが犯人が見つからず、それ以来常に警部の心の奥にくすぶりつづけている事件だった。 警部が家から追い出されたと知ったモンクは、トゥルーディの死後自分が最も辛かった時期に支えてくれた警部に対する恩返しに、自分の家にしばらく泊まるように勧める。警部はモンクの気持ちを嬉しく思い、二人はモンクの家に同居することになる。 しかし、行動パターンのあまりにも違う二人は、何かにつけてお互いにお互いのことが気になってしまい、夜眠ることもできず、ストレスがたまる一方。それぞれがシャローナとディッシャーに、このにわか同居生活の苦労をグチるものの、二人ともに、相手の気持ちを傷つけるからと互いを気遣って、同居を解消しようとはしない。 しかし、事件の捜査となると、さすがに息はぴったり。モンクの家で、マイルス・ホリングが入居していた老人ホームの出入者名簿を見ていたモンクと警部は、ジョージ・ロウという警備員が、事件当日、自分の名前を間違えて記入していることに気づき、さっそく二人でその男の家に向かう。 ロウが飼っているヘビが水槽から逃げ出しているのを見て、パニックを起こすモンクを尻目に、警部は、ジョージ・ロウの死体を発見する――― このエピソードの《警部ファン的》みどころ 他にも名エピソードは数あれど、個人的に一番好きなのはやっぱり、最初から最後まで警部の魅力大全開のこのエピソード! 奥さんが来ました、とディッシャーに告げられ、一瞬固まった後、彼女を引き止めておけ! と命令する警部。 この時の、表面的には冷静を装いつつ、内心では落ち着け、落ち着け自分! と言い聞かせているのが手にとるようにわかる、テッド・レヴィンの演技が素晴らしい。 いきなりそんなことを言われて困ったディッシャーに、彼女はどんな話題なら乗ってきますか? と聞かれ 「俺がいかにして彼女の人生を台無しにしたか」 と返す、自虐的なユーモアセンスも最高。 その後、部屋に入ってきた奥さんに、彼女からの贈り物である滝の置物に、水の代わりにコーヒーが流れているのを見つけられてしまい、 ( ̄∇ ̄|||)/バレちゃった〜 と思いながらも 「うん、コーヒーの滝」 と無理やりごまかすその時の顔の可愛いことといったら、こんな子どもみたいに見え透いた嘘をつかれると、確かに怒る気も失せるだろう。それが警部の手なのかもしれない。 ガウンの下は、ランニングにトランクスという姿で、モンクの家を歩きまわる警部。モンクはなにもいわないが、彼の男女問わず人間の肉体というものに対する過剰な反応を思えば、これはけっこう気になるはず。 しかし、視聴者の私達にしてみれば、普段は見られないオフの警部の姿がこのエピソードではたくさん見られるので、大変嬉しい。 目覚まし時計の設定時間をめぐって警部とモンクがモメるシーンは、テッド・レヴィン自身が演じていて楽しかったと語っているように、ウィットに富んでいて、実に面白い。とんちのきいた目覚まし設定時刻に関する警部の妥協案もさることながら 「家では警部って呼ぶなよ。仕事中みたいな気がするから」 と言われ、 「えー、ではリーランド、何か他に必要なものはありますか、リーランド?」 と、ものすごく呼び慣れない感じで2回もリーランドを繰り返すモンクがなんとも可笑しいし、モンクの目覚まし設定時刻に関する不条理なこだわりにも、一応ちゃんと理由を聞く耳を持ってあげる警部は、我慢強くて優しくて素敵。結局は我慢の限界が来て 「また入ってきたら、撃つからな」 と言うにしても。 しかしモンクなら、たとえ撃たれる危険を冒してでも目覚ましの設定時刻を直しにきそうな気がする。警部もそう思って、ますます眠れないのかも。 自分でサンドイッチを作る警部。あとで掃除機をかけるシーンもあるが、家事をやる中年男性ってすっごくキュート! (だと思うのは、私だけでしょうか?) ジョージ・ロウの家に入る警部とモンク。椅子の上にあるものを調べるモンクに 「物に触るなよ、ここは俺達の家じゃないんだ・・・くそっ、今俺、『俺達の家』って言ったのか?」と一人で呟く警部が最高に可愛い。なんだかんだ言いながら、モンクとの同居生活にちょっと馴染み始めてることが怖いらしい。 ヘビをみてパニックになるモンクとは対照的に、警部は全然怖がらずにヘビを水槽に戻し 「チビるなよ。チビってもズボン貸さないからな」 しかし、えさやりスケジュールを見て、もう一匹ヘビがいなくなっていることに気づいてモンクは再びパニック! 机の上に上ってしまう。 「警部も上って大丈夫ですよ、この机、頑丈ですから」 「俺はお前なんかと一緒に机に上ったりしないぞ、モンク。嫌なら、外に出てればいいだろう」 「運んでください」 「なに?」 「外まで運んでください」 「嫌だよ」 「お願いです」 「嫌だ」 「お願いですったら!」 「嫌だったら!」 「じゃ、いいです。ここにいますから・・・銃をお借りしても良いですか?」 「だめだ。それで自分の頭を吹っ飛ばすって言うなら話は別だがな」 「もしかしたら、そうするかもしれません・・・」 とまあこんな感じに、とにかくこのエピソードは全編に渡って、モンクと警部、ボケとツッコミの、息のあった丁丁発止のやりとりがめちゃくちゃ面白い。言葉や行動の端々に二人の仲の良さも伝わってくるし、見ていてほのぼのする。 ロウの家の外でモンクが警部に 「今日、何時に帰ってきますか? 今夜はポットローストをつくるので、大体の時間を知りたいんです」 「わからん。あとで電話する」 「忘れないでくださいね」 「忘れないよ」 「あなたは昨日もそう言ったけど・・・」 と、まるで欲求不満の妻みたいなこと言うモンク。ディッシャーでなくたって吹き出してしまう。 警部が掃除機をかけ終わったとたん、すぐに同じ場所に掃除機をかけ始める(これは警部でなくてもムッとする)モンク。 ついにキレた警部の大演説のシーンは、本人はものすごく真剣だけれど観ているこちらは大笑いという、コメディシーンの決定版。 それにしても、モンクがパニックを起こすと警部が抑える。警部がキレるとモンクが冷静になだめる。ナイスコンビネーションだ。 事件の謎を解明し、モルデン市の市庁舎に行くも、副市長に体よく追い払われてしまうモンクと警部。しかし、市庁舎から出たとたんあることをひらめいて、二人でわれ先にと市庁舎の中に戻る。 50前後のおじさん二人が、子どもみたいに意気込んで走って戻っていく姿が可愛い。 タイムカプセルの中に入っていたカレンからの手紙を読んで、感動のあまりちょっと涙ぐみながら、奥さんへの愛を告白する警部。20年以上も連れ添っている妻に「君のことを、頭がおかしくなるほど愛してる」と言える男性って、とても素敵だと思う。 このエピソードの関連リンク アメリカ公式サイトのこのエピソードのページ 日本公式サイトのこのエピソードのページ |